毎週楽しみに見ています直虎ですが、領民とともに作り上げた、綿布を無地に染め上げて、今川の寿桂尼に献上するシーンが出てきます。家督を許され、三年間自分が治めてきた成果として差し出された綿布。今でこそ、気軽にきているものですが、庶民に一般的に着用されるようになるのは、まだまだ先のことのようですね。

現代の着物は、小袖と言われる古くは平安貴族の下着に用いられたものと、一般庶民が長く着用してきた上着との性質が合わさったものであると言われています。当然、支配階級よりも、庶民の着物の変化はごく緩やかで、綿布を作りながらも実際に着用するにいたるのは、まだ先のこと。動乱の時代を乗り越えて、平穏な日々を迎えてのことになるのでしょうか。

また、藍染めの産地で名を馳せた四国の阿波では、相次ぐ吉野川の氾濫で、稲作に適した土地とはいいがたく、氾濫前に刈り取りができる藍の生産には適していたため、初代阿波藩主蜂須賀公の保護のもと、発展したといわれています。

先の見えない戦国の世を泳ぎきり、平穏な時代を迎えて藍と木綿が庶民の着物を代表するようになる時代を迎える。変化は緩やかなれども力強く、木綿文化は長く人々を支え続けることになるのでしょう。