昨年3月からの、着付けのキャンセルから引き続き、今年も着物を見合わせる方が多いという日々が続いています。

学内で、着付けを見合わせる判断をされる大学もあります。そんな中。せめて会場でのお直しができないかとのお問い合わせを頂きました。本来その場で脱げるレンタルのお手軽さですが、住まいを引き払い、遠方にそのまま帰られる学生さんもおられるとのことで、長い道中帰り道も安心して帰れるようにとの、ご配慮からのご連絡でした。娘を持つ身としては、そのように最後まで案じてくださる学校というのは、なんとも暖かく、有難いことと胸が温かくなりました。コロナ禍において、卒業式に参列できない親御様に、晴れのお姿をお見せいただけるように、私たちも精一杯務めさせていただけたら幸いです。きっと、この学校に通ってよかったと思うときは、人に寄り添う温かい心に触れた時でないでしょうか。

お着付けのお直しどころというのは、私たちもずっとあったらいいと思っていました。着付けというのは、着せたら終わりでは決してなく、脱ぐ時まで快適で、不自由なく美しい着姿が保たれてこそのもので、ご不自由なくお過ごしいただけるよう、果て無く工夫をしていくものです。

このようにするのよ。と先輩方から、時に手取り足取り、あるいは見よう見まねで、母から子へ伝えるように、教えていただり、模索しながら自ら考えていくもの。

このコロナ禍で旅立つ人たちが、素晴らしい卒業を迎えられますようにと祈ります。