圧倒的に母について書いてばかりいますが、父については、だんまりを続けていました。色々思うことはあれども、わざわざ人様に話すことはないな。と思っていたのです。(この扱いの差は酷いな。父よ申し訳ない。)

江戸文化の研究を定年後のライフワークとし、途切れることなく講座をしていて、人が賑やかに集まる人気があると聞いていて、大学の公開講座を受け持っているらしいと聞き及んではいるのですが。

講座に参加をしている私の友人から、凄く楽しいから、一度は貴女も来たらいいのよ。などと、言われてもこれが、なかなか素直に首をたてに振ることが出来ずにいたのです。なんというか、身内の講座は、心臓に悪いといいますか。(笑)

目が悪くなり、資料作りもままならぬと聞くと切なくなるところですが、それでも、彼は諦めないし、講座の依頼はあるし人も集まる。ついには、流石にこの人実は凄い人だったかも。とやっと思うようになったのです。(ますます酷いな。父よ、申し訳ない。)

今頃気づくとはあんた鈍すぎよ、と友人からの叱責の声が聞こえてきますが。親子ってこういうことって多いような気がして。永遠に元気でいてくれると思い込んでいたいんですよね。

でも、こう思えば私は、切り替えが早く。講座のセッティングからしたくなるのです。資料の作成もてつだえましょうし、何より、父に着物を着せられる訳ですから。

母の着物姿は、思い起こせば、私の結婚式が最後でしたから。こんな仕事をしながら、そうだったのです。だから、写真館でも、せっかくおばあ様がおられても、子守りに徹しておられて、一緒に写らないとおっしゃると、切なくなります。三世代で着物を着てくださると、本当に、微笑ましく、涙が出るほど嬉しくなります。息子のお宮参りが、元気な義両親、両親の集まった最後であったのに、何故一枚写真館で残さなかったのか、そんな後悔があり、だからこそ、写真の仕事をしているのかもしれません。

でも、遅くはない。義両親は体を悪くし叶いませんが、私の父は、元気なんですから、素直になれば、私の願いは叶うのです。回り道をしましたが。父の講座が素晴らしいものになるようにつとめたいと思います。