着物の仕立てをしてくれている山口さんに最初会ったのは、やっぱり20年ほど前で、着付けを習いに来てくれたんだったなあ。と思い出します。物静かで、芯が強く、当時からご自分の仕立てた着物を着ていらしたのを覚えています。着付けの仕事を再開したのと、仕立て一本で仕事を山口さんがし始めたのは同じ頃でした。

今日友人から裄直しを依頼されていた着物を引き渡したのですが、わずかなことに見えますが、裄がしっかりとあうと、羽織ってもらうと馴染むなあ、という印象を受けます。何より、その人の物にちゃんとなってくれたなあと印象を強く持つのです。取り敢えずまだ着る予定はないけど、直しておこうと思ってと友人は笑いましたが、そうして準備をすることによって、着物が輝きを増して、その人を応援してくれる存在になるんですね。着物ってそういう幸福をもたらしてくれるもの。微力ではありますが、人と着物を結ぶことを今後もしていけたらと思います。