2018年3月20日卒業の日に寄せて
春は多くのお子さんの巣立ちの季節ですね。
今年は多くのお子さまの巣立ちのお支度をさせていただいています。
着付けだけではなく、袴と着物の取り合わせを考えて、中古品を探しにいったり、呉服屋にいったり、草履のあつらえ、肩上げするかしないか、時に、数ヶ月かけて準備を進めます。年がら年中着物のことを考えてるとも言えまして。(笑)去年あのお子さんが着た着物はこちらのお嬢様にとか、袴はこちらのかたに。日を改めて次はこちらにと、いつも着物や小物が行ったり来たり。かなり特殊なレンタル方法なようですが、本来着物は、そういう部分がありまして。こんな形で、人を結ぶのです。結んでは、離れていく。人の縁にも似て、なんと豊かな世界を見せてくれるのだろうといつも思います。
当日のお着付けを担当できる人数は極限られるため、長いお付き合いの着付け師さん、美容師さんに依頼していました。それでも、3月に入るとご依頼をお断りしなければならない日が続きました。
依頼していたお仕事を、誠実かつ正確に、やって頂いた着付け師、美容師の方々には、心より感謝しています。お客様からは、感謝のお言葉を頂戴し、こういう方々と、仕事をさせていただいていることを心から誇りに思います。
きっと、仲間である方々は、当たり前のことをしているだけだと、言うでしょう。でも、お客様のかけがえの無い一日を、大切に思い、自分のことのように、お客様を思う心が形になり、そのことが伝わり喜んでいただいているのだと感じています。
人は宝。着物はいつも、それを伝えてくれます。
形がありながら、形がなく、千変万化する着物の姿。寄り添い、力付け、そっと背中を押す。旅立ちの季節に、凛として立つ、子供達の姿に、私たちは沢山の感動を頂いています。そして、姿は見えなくとも、見守ってくださる方々の存在を、感じています。打ち合わせなどに伺い着物にふれていると、亡き方が引き合わせて下さったと、言ってくださる方が多いのも、無償の愛を注ぎ、私たちを見守ってくださる方々の存在を着物が教えてくれているせいかもしれません。
新しい世界に旅立つ人たちにこそ、いつも、見守っている人のあることを
忘れないでほしいと、願っています。