出張型カメラマン+ヘアメイク+着付け師によるロケフォト撮影を昨年からサンプル撮影より始めて、何度か行ってきましたが、この撮影のもっとも難しいところは、天気でして。これは、天気予報と大いににらめっこ。

昨日は貴重な梅雨間の晴れの日で、私たちの願いを天がきっと聞き入れてくれたのでしょう。お衣装は、亡き曾おばあ様がお作りくださった七五三の衣装を仕立てがえたもの。お姉さまは、十三詣りの時の着物の肩を落として、手描きの名古屋帯を今回締めました。はんなりと優しい風情のお姉さまにはぴったりて、曾おばあ様は、まるでこのように成長されることを、ご存知だったかのようです。お嬢様お二人が仕上がって、おうちの階下に降りた時、下のお嬢様に、お姉さまが、「おばあ様に、お見せしないとね。」と、ご仏壇の前へと促されたことが、とても印象的でした。流石はお姉さまで、いつも近くでご成長を見守ってくださる方の存在を忘れていないのです。

撮影は、新しくリニューアルしたフラワーセンターで、行いました。とりどりに咲く花の前で撮影は、進んでいきました。飾らない等身大の家族の姿は、時に思春期の娘さんらしく、それすらも、微笑ましく。素敵なご家族の姿がそこにありました。

撮影が終わって、そのまま、神社にむかわれ、ご親族さまにご報告に行かれました。

いつも密にいる家族が、子供が成長するにつれ、別々に過ごす時間が増えていき、写真を一枚撮ることもままならなくなりますが、着物というものは、再び絆を固く結んでくれるものだと思います。

家族の中で、共に成長していく着物を残された曾おばあ様は、どんな方だったのだろう。お会いしたかった。と、思っていました。でも、それは叶いません。残されたお着物の中にあるメッセージを感じとり、今後のお支度のヒントを頂くしかないのかな、と感じていました。

そんなおり、曾おばあ様が生前残されたという、エッセイ集を二冊お母様から渡されました。ページを読み進めるうちに、曾おばあ様のお心にたどり着いた気持ちになり、涙が溢れてきました。日常的な出来事や、家族のこと、些細に見える毎日を、人を大切に、楽しみながら生きてこられたことを感じたのです。次の世代を生きる人たちの為にも、綴ってくださったのでしょう。

私、時折思うのです。着物を着ていた時代、歩く速度もゆったりとして、流れる時も、緩やかだったのだろうと。電車の車窓を流れる景色と、言わば人力車に乗って移動する景色の流れ程に、見えていたものも違う。寒さ、暑さ、風の匂い。遠くまで行けるようになったのは、素敵なことだし、速く進めるようになったのも、必要なことだけれども、時には、子供の手を引き、歩いた日々に戻って、ゆっくりと家族の歩調を合わせて過ごして行くのも素敵なことだと思います。

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