一年近くみてきた直虎も終盤に差し掛かり、直虎から、直政に世代交代を思わせる展開になりました。井伊家はとりつぶされて、直虎は領主でなくなっていますが、木綿は産業として発展し、教育、医療が領民に施され豊かな土地へと変わりました。名を残さず、一農婦として生涯を終えようとも、直虎は、充実した穏やかな表情をしています。直虎の人生を象徴するかのように、綿の実は豊かに実っている。天日で干したり、種と綿を分けて、糸をとる。そんな様子も出てきます。とりどりに染められはためく布たちも。

こんな風に木綿を丁寧に描いた大河は今までなかったんじゃないかと思います。

でも、このまま終わるわけではなく、徳川四天王と呼ばれるまでに成長を遂げる、次の世代の直政さんの活躍はこれから。(笑)

直虎は既に、お家再興は、願っていません。世話になった養子先の松下に報いるためにも、松下の名の元での、虎松の活躍を願っています。直虎や、実母の心をうっちゃって、お家再興を目指して、15才の虎松の暴走劇場が始まりました!もう、ただ眩しい!眩しい若さ!

若者はお家再興の野望を抱き、井伊の谷産の木綿の肩衣袴を着て、徳川に仕官します。仕官の際に着用する着物は、直虎を始めとする縁者の女性が誂えたもの。現代でも祝い着を女性の実家が用意する慣わしがあるように、作らせてほしいと、直虎は松下に嫁いだ虎松の母に願い出ます。贅沢さはなくても、美しい刺繍が施された素晴らしい着物が出来上がりました。お守りには、虎と亀の刺繍が。それをみて、虎松は、あろうことか、お家再興の気持ちに火が付いちゃうんですよね。家の為に、次々と人が亡くなっていった。名を捨て、初めて得るものもあったと、直虎がいくら語ったところで負け犬の遠吠えにしか、若者には、聞こえんのでしょう。

若さって。無鉄砲で眩しい!過去もしがらみも、振り払って戦国の世を生き抜く様を見てみたい。そんなことを思わせる今回の直虎でした。