富士五湖西湖、西北に位置する根場にいってきました。

山々を背に前方に富士山を望む茅葺き屋根の集落は、日本人の故郷そのもの。誰もが郷愁を感じる風景なのではないかと思います。

根場の集落は、昭和41年の台風で甚大な被害を受け、その殆どが、消失しています。近隣の二つの集落合わせて、96名の方々が亡くなり、人々は故郷を離れることになりました。

平成の市町村合併の時に、ふるさと再生の事業として、根場の茅葺きの集落は、再建されました。背後の山崩れの危険は免れないため、原則としては人は住めず、昼間に観光地として利用されています。

20棟程の茅葺き屋根の集落の半分ほどは、地元の作家さんの工房などがあり、陶芸などの体験ができます。

山梨では、お雛祭りは1ヶ月遅れとのことで、美しいお雛様が沢山かざられていました。

つるし雛を作る体験のできる工房があり、娘たちは、ふくろうのちりめん細工を作りました。

私は、圧巻としかいいようのない、つるし雛の数々に心奪われました。そのつるし雛には、一つ一つに、意味があり、ふくろう=不苦労、唐辛子=悪い虫がつかないように。座布団=早く座れるように、草履=早くあんよができるようになど。また、富山県で有名なさるぼぼは、実は全国に同じようなものがあるとされます。

尽きぬ親の願い、子の幸せを祈る心が、かくも愛らしい吊るし飾りになる。小さな端切れのちりめんを縫い合わせ、布の命、人の命を丁寧に繋いでいく。

予期せぬ災厄に見舞われても、再生し、繋ぎつづけていく。前方に雄大な富士を望み、背後に山が迫る美しい景色。人の生み出すものも、やはり美しい。災厄と隣り合わせに生きることを忘れないからこそ、きっと祈りは形になり、継承されてきたのだと思います。

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