十八年弥生号
「暦」
本日3月21日は、雪が降った。特に箱根は大変だったらしい 桜が開花宣言されたのに、である。奥多摩では遭難騒ぎもあった。
こんな時のニュース番組の冒頭で、こんなことを言う、「暦の上ではとっくに春なのに」天気予報なのでの常套句である。そもそも”暦の上では”とはどういうことなのだろうか。暦とは、カレンダーの事ではないらしい、私のカレンダーには21日は「春分の日」「赤口」だけである。暦とは、旧暦の事である。
明治6年(1873年)から使用している太陽暦を「新暦」といい、それ以前の太陰暦の事を「旧暦」と呼んでいる。旧暦は月の満ち欠けを基準としている。
月の満ち欠けは周期約29日半または30日となり、1年は345日前後になる。
そこで一年を修正するため閏年を特別な年を設けた。閏年には13カ月を設けたのである。そこで帳尻を合わせた。
やがて、農耕文化が始まると太陽暦が必要になり、四季を表すことが必要になった。
その方法として、陽が長くなる夏至と短くなる冬至が決まり、二至(冬至・夏至)となり、そして昼夜の長さが等しくなる春分と秋分とが決まり、二分(春分・秋分)となり、一年という周期を4等分することになり、さらに、その中間に設けた四立(立春・立夏・立秋・立冬)によって、春夏秋冬の季節を表すことになった。
例えば、今年の春は2月4日(旧暦12月19日)から5月4日(旧3月19日)る。またこれを15日ごとに分けたのである。
春を6等分したのである。春を例に挙げると、立春(2月4日)雨水(2月19日)啓蟄(3月6日)春分(3月21日)清明(4月5日)穀雨(4月20日)である。
これらが24節気。この24節気が1年の行事の基本となり日本のしきたりの元になっている。24節気をさらに5日ごとに期間として分類したのが72候である。
1候(2月4日―2月8日)「東風解凍」“はるかぜこおりをとく”
72候(1月30日―2月3日)「鶏始乳」“にわとりはじめてとやにつく”
72候は当時のカレンダーであり、行動指針であるといえる。
これにより季節を感じ、日常を楽しんでいた。

ڍׂ͂

春は多くのお子さんの巣立ちの季節ですね。

今年は多くのお子さまの巣立ちのお支度をさせていただいています。

着付けだけではなく、袴と着物の取り合わせを考えて、中古品を探しにいったり、呉服屋にいったり、草履のあつらえ、肩上げするかしないか、時に、数ヶ月かけて準備を進めます。年がら年中着物のことを考えてるとも言えまして。(笑)去年あのお子さんが着た着物はこちらのお嬢様にとか、袴はこちらのかたに。日を改めて次はこちらにと、いつも着物や小物が行ったり来たり。かなり特殊なレンタル方法なようですが、本来着物は、そういう部分がありまして。こんな形で、人を結ぶのです。結んでは、離れていく。人の縁にも似て、なんと豊かな世界を見せてくれるのだろうといつも思います。

当日のお着付けを担当できる人数は極限られるため、長いお付き合いの着付け師さん、美容師さんに依頼していました。それでも、3月に入るとご依頼をお断りしなければならない日が続きました。

依頼していたお仕事を、誠実かつ正確に、やって頂いた着付け師、美容師の方々には、心より感謝しています。お客様からは、感謝のお言葉を頂戴し、こういう方々と、仕事をさせていただいていることを心から誇りに思います。

きっと、仲間である方々は、当たり前のことをしているだけだと、言うでしょう。でも、お客様のかけがえの無い一日を、大切に思い、自分のことのように、お客様を思う心が形になり、そのことが伝わり喜んでいただいているのだと感じています。

人は宝。着物はいつも、それを伝えてくれます。

形がありながら、形がなく、千変万化する着物の姿。寄り添い、力付け、そっと背中を押す。旅立ちの季節に、凛として立つ、子供達の姿に、私たちは沢山の感動を頂いています。そして、姿は見えなくとも、見守ってくださる方々の存在を、感じています。打ち合わせなどに伺い着物にふれていると、亡き方が引き合わせて下さったと、言ってくださる方が多いのも、無償の愛を注ぎ、私たちを見守ってくださる方々の存在を着物が教えてくれているせいかもしれません。

 新しい世界に旅立つ人たちにこそ、いつも、見守っている人のあることを

忘れないでほしいと、願っています。

 

 

 

ڍׂ͂