以前相談を受けた時から、数年がたち、お嬢様も節目を迎えられるため、着付けの事前打ち合わせがてら、タンスの中身を拝見しました。お母様のお着物を沢山頂き、更に義理のお母様のお着物も増えたそうで、次々と現れる着物に胸がドキドキしました。着物と帯を合わせていき、今回は小物も合わせてみました。着物と帯の取り合わせは悩むところですが、着物の上にのせていくと、答えが出てきます。帯の柄が強すぎて、着物の柄が沈んで見えてしまうとか。着物と帯と柄が主張しあいすぎで、ちょっとうるさいとか。こういうと、難しいような気がしますが、双方柄も色も、しっかりと引き立てあうものが必ずあるのです。無地であっても、それは有りまして、家紋があるかないか、染め抜きか、縫い紋かによって、影紋か、日向紋かによって、着物の表情は変わります。染め抜き日向紋の場合、格調高い帯が映えます。不思議と、紋の種類は見る前から判る場合があり、「この着物は慶弔両方に着るために誂えたのかな。それなら、ここには、銀糸の縫い紋をいれるかな。こっちの着物の地紋の華やかさもあり、格調もたかい。私なら染め抜き紋をいれるわ。」と考えて背をみる。紋により、答え合わせをするようなものです。紋は、着物に何か特別なものを纏わせるのかもしれません。何かこうかくと、どうも凄いことのような事をしているかのようですが、お客様の着物に向き合いながら、探っていくうちに、着物に教えて頂いたことばかり。誂えた人が、おられない為に、膨大なパズルのような着物と帯を前にして、途方にくれてご連絡を皆様くださるわけですが、どんな風にお召し頂く為に、ここに着物はあるのだろう。と、私はいつも考えます。具体的に着ていくシチュエーションをイメージしていくうちに、自ら考えて選んで下さるようになるんですね。どんなかただったか、何をされていたか、今、着物を持つ人がよく知っているわけですから。それと、今後自分がそれをどのようにいかしていけるか自分に向きあうお手伝いをさせていただいています。

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