上質な着物って、見飽きることがありません。友禅や、絞り、刺繍などを施した、王道を行く着物は、見ているだけで、ドキドキします。長い間箪笥の中に眠っていても、新たに空気に触れれば、たちまち輝きを取り戻すのです。上等な、華やかな紋意匠ちりめんに、桶絞りの中には、鹿の子絞り。きっぱりとした染め分けは、潔く。友禅の美しい繊細な筆遣いは、花に生命を与える。手刺繍の絹糸の輝き。控えめに施された、金箔。幾重にも重ねるようにして施された、伝統技術は、全てが調和していて、地紋である大振りのさやがた紋も、生きています。上等な絹地でなければ、いくら上に何かを施そうが、生きては来ない。最終的に、立ち上がるのは、生来の美しさ。生地の良さなのだと思います。日本の美意識を濃縮したような、こういう着物の美しさ。残していきたいと思います。DSC_0287DSC_0284