仕事柄、呉服屋さんとは繋がりがありますが、なかなかしっくりとくる呉服屋さんと巡り合うのは難しいです。

昔から、付き合いのある呉服屋さんは、タンスの中身をよく知りつくし、20年先を見越して、染め替えたり、誂えのアドバイスをくれました。タンスをあけると、様々なことを、思い出します。一つ一つが、しっかりと理由があり、そこで誂えたものは、長く重宝しています。これこそ。本当の仕事。

洗いにだしに来ただけなのに、着物を羽織らせようとする。しかも、好みや、家族構成、どんな着物がタンスの中にあるのかも知らないのに、よくそんなこと出来るなと思います。魔法使いなのかしら。(“⌒∇⌒”)撃退法は、簡単。「私は呉服売りをしていましたから、羽織らなくても判ります。ちなみに、これは、必要ありません。」次のワード有効なんで、覚えておいてください。

「私の◯◯(母でも、叔母でもお好きに)が呉服屋に勤めておりますので、相談なしには買いません。ちなみに、これは、必要ありません。」

 

服の上から、羽織らせることを、販売の時はしますが、お客様が、充分に興味を持たれたか、よく見極めてから着せればいいのに、今日なんか、無理やり羽織らせようとした着物が顔に当たりましたよ。あり得ない。お客様の動きをよく見るべきなのに。

一度は店頭の目玉を買わせて欲しいといいましたら、試着していただくのが条件です。と、こんな派手なものを私が試着するとでも、思いますか?!と、思わずいいました。私なら、そこから、お嬢様にですか?とか、どなたにお考えですか?とか、コミュニケーションツールにつかいます。しっかりと、聞いて差し上げることにより、次のニーズは何があるのか探ることができるからです。別に試着させなくても、これに合う帯が入荷しています。ご覧に入れて構いませんか?と、店の若い子をモデルにして、帯合わせを見ていただく。

今日は、京都からしっかいやさんが、見えると聞いて相談したい着物を持っていったのです。そのしっかいやさんは本当に素晴らしかった。大切に思う着物の優先順位や、状態に応じて、的確なアドバイスをしてくれました。この人はよくわかってくれる。そう思い、思っていたより掛かりましたが、納得をして頼みました。販売というのは、そういうものでしょう。現在の状態から、ここまで回復するということや、着ていく時のイメージや、シチュエーションをしっかり提示する為には、丁寧に相手に向き合い、聞き出す必要がある。

そうして初めて信頼関係が生まれて、そこから、考えてくださるのですから。お客様をご紹介するときは、何度も入念に打ち合わせをして、よく私を知る店員さんにお願いをしておきます。やはり、このスタイルは崩せないな、と思っています。