私が共に仕事をする着付け師さんたちの素晴らしさですが、難しい案件でも、難なくこなす機転、少々のトラブルを想定した装備品を備え、例え、困ったとしても、表に出さず時間通りに仕上げることです。場に相応しい装いになるかというのは、とても神経を払うもので、成人式を過ぎて落ち着いた年齢の振袖姿を違和感なく仕上げていきます。

これは、成人さんに相応しい着付けをするより、難しいものです。何よりそのことをお客様が気づいてくださり、感激してくださり、お礼の電話をくださったと伺うと、私はそういう経験値のたかい着付け師さんたちと仕事ができることを、とても誇りに思います。

取引先を増やして行くのは、経営にとっては、良いことに見えることもありましたが、私は何を提供してきたのか、何をお客様が求めてくださったのか、それを見失っては、元も子もない。シンプルにお客様と、私が向き合うだけなら、何も問題は起きません。間にクライアントが入り、人をいれ、こちらの提供できるものと、一致しないときに不具合が起きるのです。

そんなとき、やはり私は、真摯にお客様に向き合うことを大切に考えていきたい。広げた風呂敷を、小さくしても、元々は田舎のおかんの、小さな着付けやなんですから。

私が考える美しい着付けを追求していけば、よいのではないかと思います。