ある時、娘の友人のお宅に伺いましたら、袴に合わせようと思って、と見せてくれた着物がありました。今はあまり見かけることの少なくなったお召の着物で、紅絹とのコントラストが美しいものでした。お召というのは、独特なシャリ感がある縮緬ですが、先染めといって先に糸を染めることによりこの風合いが生まれます。華やかな着物が多い中で、シュッと紺のお召も素敵なのではないかと思います。若い人向けに、袖は長く出来ています。明るい緑の帯が凄く映える装いになるのかな。昨今華美になると、小学生の卒業式に袴着用が禁止の向きもあるとか。お母様のお持ちの着物と合わせてみるのも、近所の人に借りるのも、知恵も色々、手立てはあるのにな。これからも、そういう着物を着たい人の手助けが出来たら嬉しく思います。1581074033147

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この資格自体を知ったのは調度2年前のことで、よくわからないまま筆記を受け、通過し実技を受ける段になって、初めてどういう実技なのか内容を知りました。当然準備不足で、一度目は不合格。亀有の先生の門を叩き、一級への長い道のりが、始まりました。丁寧に細かい技術を見直していくと、補整の位置や量、腰ひもの位置なかなか、定まりそうで定まらず。振り袖の長さもモデルの身長に合わせて調節したり、細かいことを本番に狂いなく定めた通りに行うことをしていきましたが、いざ終わると粗が気になり、つくづくとこれで全て完璧ということができない世界だと思います。

準備の段階から、しっかりと一つずつ間違いなく揃えて手順通りに進めることを何度も叩きこんでのぞみましたが、この繰り返しこそが、落ちついて試験を受けることに繋がりました。

何よりも、素晴らしいのは、ご指導くださった先生で、理にかなった無駄のない動き、無理のない着付け、この実践こそが、美しい仕上りに繋がる。その細やかな指導、どこまでもとことん付き添って下さり、諦めず忍耐づよく、人を指導する立場にあるものは、このようでなければならないというお手本のような方です。何よりも、優しいお人柄が、着付けに現れている。先生の門を叩くものは、後を絶ちません。

この一級の試験は実務経験を5年つんでいれば、受験資格のあるものですが、オフィシャルの対策講座もなく、要項をとにかく読み込んで、何を求められているのか、しっかりと理解をして、応えられないといけません。一つの答えとして、皇室の方々がお召しになる着物が手本であるのかと思います。お方様へのお着付けであると考えると、自ずと立ち振舞いなどが、変わって来るものかとおもいます。それは、そのまま、花嫁衣装に繋がっていく技術だと思いました。

証書を手にした今、美しい着物を扱っていく技術、心構えを大切により、一層精進して参りたいと思います。

 

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